強いマッサージは逆効果?「ファシア」「筋膜」「トリガーポイント」を解説。「ゆるむ」ケアの真実 〜強く押すよりも、「脳に伝える」ケアが大切〜
2025.11.06
こんにちは!
世田谷区奥沢・田園調布・自由が丘エリアのパーソナルトレーニングルーム併設
はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME(ザ・ダイム)です。
「マッサージしてもすぐに凝りが戻る」
「強い刺激でないと効いた気がしない」
そんな方が非常に多いです。
今回は、当院の患者様からよくご質問をいただく「ファシア」「筋膜」「トリガーポイント」の正体と、「本当に身体がゆるむケア」の仕組みについて、分かりやすく解説します。
■ ファシア(Fascia)とは?
ファシアとは、全身をくまなく包み込み、つないでいる膜組織のことです。
筋肉だけでなく、靱帯・腱・内臓・神経・脳・脊髄まで、すべてを覆っています。
その中でも特に、筋肉を包む膜を「筋膜」と呼びます。
つまり筋膜もファシアの一部です。全身の不調を考える上で、このファシアの状態が非常に重要になります。
■ トリガーポイントとは?
トリガーポイントとは、ファシア(筋膜)にできる知覚過敏部位のこと。
押したり針を刺したりすると、押された場所や、
離れた場所に「ズーン」とした鈍痛(関連痛)を感じます。
この痛みは、普段感じている「肩こり」「腰痛」「頭痛」などと同じ種類の痛みとして認識されるため、「認知覚」とも呼ばれています。
実は、慢性的な肩こり・腰痛・膝の痛み、さらには頭痛などの多くが、このトリガーポイントによって引き起こされています。
つまり、原因は筋肉そのものではなく、筋膜=ファシアの不調であることが多いのです。
■ 「筋膜はがし」は本当に「はがれる」の?
SNSや動画で「筋膜はがし」という言葉をよく見かけますが、
実際には筋膜が物理的に「はがれる」ことはありません。
筋膜は非常に薄く、弾力性があり、押したり強く伸ばしたりしても物理的には変化しにくい構造をしています。
また、フォームローラーなどで強く押してゴリゴリする方法も「はがす」効果はなく、
むしろ、強すぎる刺激は身体を緊張させてしまうことがあります。
■ 筋膜リリースの本当の仕組み
では、どうして筋膜がゆるむのか?
そのカギは、「固有感覚受容器」という身体のセンサーです。
固有感覚受容器(ルフィニ小体・パチニ小体など、膜や皮膚にあるセンサー)は、
膜や筋肉の動き、圧、振動などを感じ取り、その情報を脳へ送る働きをしています。
刺激によってこれらのセンサーが反応すると、脳に伝達が行き、筋膜や筋肉の緊張がゆるんでいくのです。
つまり、筋膜リリースとは「物理的に押して伸ばす」ことではなく、脳と神経の反応によって起こる変化なのです。
この反応は、自律神経とも深く関係しています。
■ 現代のケアは「強く押す」から「中枢へ働きかける」へ
かつては「強く押してほぐす」ことが主流でしたが、
今は「神経を介して脳に働きかける」アプローチが主流です。
たとえば、呼吸エクササイズ。
これは胸郭を動かすためだけでなく、延髄や迷走神経などの中枢神経系を介して全身を緩めることを目的としています。
呼吸は、自律神経と直結するリズム運動。
ゆったりとした呼吸刺激が脳幹に伝わることで、副交感神経(リラックス神経)が活性化し、結果として全身のファシアがゆるんでいきます。
また、眼や前庭(平衡感覚)へのアプローチでも、
脳の反応を通じて筋膜や姿勢バランスに変化が起こることがわかっています。
■ 強く押さない「THE DiME」のファシアケア
ファシア(筋膜)を整えるということは、「脳と身体のコミュニケーションを整えること」。
強く押すよりも、やさしく「脳へ伝える」アプローチの方が、結果的に深いリラックスと持続的なリリースにつながります。
当院では、この筋膜・神経・脳をつなぐ総合的な視点から症状の根本原因を見極め、施術とセルフケアの指導を行っています。
だからこそ、「その場しのぎではない」、良い状態をキープできる身体へと変化していくのです。
今までのアプローチは間違っていたのかも!
と思った方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
正しいケアの方法をお伝えいたします。
慢性痛とトリガーポイントについて
【参考文献】
1. Lam C 他. Myofascial pain – A major player in musculoskeletal pain. Best Pract & Res Clin Rheumatol. 2024;38(2):101xxx. DOI: 10.1016/j.berh.2024.101xxx
↳ 筋骨格系の慢性痛において、筋筋膜性疼痛(MTrPs)が非常に高頻度に関与する可能性あり。
2. Tsai P-F 他. Characteristics of patients with myofascial pain syndrome in chronic low back pain patients. Sci Rep. 2024;14:61319. DOI: 10.1038/s41598-024-61319-5
↳ 慢性腰痛患者の63.5〜90%がMPS併存との報告。
ファシア、筋膜と押圧刺激による変化について
【参考文献・参照論文】
Behm DG, et al.
Foam rolling acute effects on myofascial tissue stiffness and muscle strength: A systematic review and meta-analysis.
J Bodyw Mov Ther. 2023; 32:150-161.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36227232/
→ 筋膜・筋肉の剛性変化に有意差は見られず、「癒着が剥がれる」明確な証拠はなし。
Junker D, Stöggl T.
The effects of an acute bout of foam rolling on hip range of motion on different tissues.
J Sport Rehabil. 2018; 27(3):289-294.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6088119/
→ 筋膜主体部位(腸脛靱帯)では可動域の変化がほとんどなく、筋膜への物理的変化は限定的。
Wiewelhove T, et al.
Acute effects of foam rolling on passive tissue stiffness and fascial sliding: study protocol for a randomized controlled trial.
Trials. 2017; 18:114.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5343315/
→ 「フォームローリングで癒着が壊れるという科学的証拠は存在しない」と明記。
世田谷区奥沢・田園調布・自由が丘エリアのパーソナルトレーニングルーム併設
はり・きゅう・マッサージ治療院 THE DiME(ザ・ダイム)です。
「マッサージしてもすぐに凝りが戻る」
「強い刺激でないと効いた気がしない」
そんな方が非常に多いです。
今回は、当院の患者様からよくご質問をいただく「ファシア」「筋膜」「トリガーポイント」の正体と、「本当に身体がゆるむケア」の仕組みについて、分かりやすく解説します。
■ ファシア(Fascia)とは?
ファシアとは、全身をくまなく包み込み、つないでいる膜組織のことです。
筋肉だけでなく、靱帯・腱・内臓・神経・脳・脊髄まで、すべてを覆っています。
その中でも特に、筋肉を包む膜を「筋膜」と呼びます。
つまり筋膜もファシアの一部です。全身の不調を考える上で、このファシアの状態が非常に重要になります。
■ トリガーポイントとは?
トリガーポイントとは、ファシア(筋膜)にできる知覚過敏部位のこと。
押したり針を刺したりすると、押された場所や、
離れた場所に「ズーン」とした鈍痛(関連痛)を感じます。
この痛みは、普段感じている「肩こり」「腰痛」「頭痛」などと同じ種類の痛みとして認識されるため、「認知覚」とも呼ばれています。
実は、慢性的な肩こり・腰痛・膝の痛み、さらには頭痛などの多くが、このトリガーポイントによって引き起こされています。
つまり、原因は筋肉そのものではなく、筋膜=ファシアの不調であることが多いのです。
■ 「筋膜はがし」は本当に「はがれる」の?
SNSや動画で「筋膜はがし」という言葉をよく見かけますが、
実際には筋膜が物理的に「はがれる」ことはありません。
筋膜は非常に薄く、弾力性があり、押したり強く伸ばしたりしても物理的には変化しにくい構造をしています。
また、フォームローラーなどで強く押してゴリゴリする方法も「はがす」効果はなく、
むしろ、強すぎる刺激は身体を緊張させてしまうことがあります。
■ 筋膜リリースの本当の仕組み
では、どうして筋膜がゆるむのか?
そのカギは、「固有感覚受容器」という身体のセンサーです。
固有感覚受容器(ルフィニ小体・パチニ小体など、膜や皮膚にあるセンサー)は、
膜や筋肉の動き、圧、振動などを感じ取り、その情報を脳へ送る働きをしています。
刺激によってこれらのセンサーが反応すると、脳に伝達が行き、筋膜や筋肉の緊張がゆるんでいくのです。
つまり、筋膜リリースとは「物理的に押して伸ばす」ことではなく、脳と神経の反応によって起こる変化なのです。
この反応は、自律神経とも深く関係しています。
■ 現代のケアは「強く押す」から「中枢へ働きかける」へ
かつては「強く押してほぐす」ことが主流でしたが、
今は「神経を介して脳に働きかける」アプローチが主流です。
たとえば、呼吸エクササイズ。
これは胸郭を動かすためだけでなく、延髄や迷走神経などの中枢神経系を介して全身を緩めることを目的としています。
呼吸は、自律神経と直結するリズム運動。
ゆったりとした呼吸刺激が脳幹に伝わることで、副交感神経(リラックス神経)が活性化し、結果として全身のファシアがゆるんでいきます。
また、眼や前庭(平衡感覚)へのアプローチでも、
脳の反応を通じて筋膜や姿勢バランスに変化が起こることがわかっています。
■ 強く押さない「THE DiME」のファシアケア
ファシア(筋膜)を整えるということは、「脳と身体のコミュニケーションを整えること」。
強く押すよりも、やさしく「脳へ伝える」アプローチの方が、結果的に深いリラックスと持続的なリリースにつながります。
当院では、この筋膜・神経・脳をつなぐ総合的な視点から症状の根本原因を見極め、施術とセルフケアの指導を行っています。
だからこそ、「その場しのぎではない」、良い状態をキープできる身体へと変化していくのです。
今までのアプローチは間違っていたのかも!
と思った方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
正しいケアの方法をお伝えいたします。
慢性痛とトリガーポイントについて
【参考文献】
1. Lam C 他. Myofascial pain – A major player in musculoskeletal pain. Best Pract & Res Clin Rheumatol. 2024;38(2):101xxx. DOI: 10.1016/j.berh.2024.101xxx
↳ 筋骨格系の慢性痛において、筋筋膜性疼痛(MTrPs)が非常に高頻度に関与する可能性あり。
2. Tsai P-F 他. Characteristics of patients with myofascial pain syndrome in chronic low back pain patients. Sci Rep. 2024;14:61319. DOI: 10.1038/s41598-024-61319-5
↳ 慢性腰痛患者の63.5〜90%がMPS併存との報告。
ファシア、筋膜と押圧刺激による変化について
【参考文献・参照論文】
Behm DG, et al.
Foam rolling acute effects on myofascial tissue stiffness and muscle strength: A systematic review and meta-analysis.
J Bodyw Mov Ther. 2023; 32:150-161.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36227232/
→ 筋膜・筋肉の剛性変化に有意差は見られず、「癒着が剥がれる」明確な証拠はなし。
Junker D, Stöggl T.
The effects of an acute bout of foam rolling on hip range of motion on different tissues.
J Sport Rehabil. 2018; 27(3):289-294.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6088119/
→ 筋膜主体部位(腸脛靱帯)では可動域の変化がほとんどなく、筋膜への物理的変化は限定的。
Wiewelhove T, et al.
Acute effects of foam rolling on passive tissue stiffness and fascial sliding: study protocol for a randomized controlled trial.
Trials. 2017; 18:114.
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC5343315/
→ 「フォームローリングで癒着が壊れるという科学的証拠は存在しない」と明記。