「いつも同じ場所が張る・戻る」のはなぜ? 筋肉の張りは「硬さ」じゃない!体性感覚と脳の意外な関係
2025.11.10
こんにちは。
世田谷区奥沢・田園調布・自由が丘エリアの
パーソナルトレーニングルーム併設鍼灸マッサージ治療院 THE DiME です。
今回は、筋肉の「張り感」についてのお話をしていきます。
「肩が張っている」
「腰がずっと張っている感じがする」
多くの人が日常的に感じるこの「張り」。
マッサージでほぐしても「すぐ戻る」のはなぜでしょう?
従来の「疲労」や「硬さ」という常識だけでは説明できない、脳と感覚のメカニズムを解説します。
【新常識1】「張り」と「疲労」は別物
「筋肉の疲労(筋疲労)」とは、筋肉が長時間の使用によって力を出し続けられなくなった状態。
一方で「張り」とは、
筋肉や筋膜(筋肉を包む膜)が軽く収縮したままゆるまなかったり、血流が滞り、老廃物がたまり、筋肉の中に緊張感や違和感を感じている状態を指します。
つまり、
• 疲労があっても張りを感じる
• 疲労がなくても張りを感じる
ということが起こります。
張りは身体のセンサーが感じ取る「緊張感」のサインです。
【新常識2】「硬い」=「痛い」とは限らない
筋肉が硬くなっていても、痛みを感じない人もいます。逆に、見た目や触感が柔らかくても、痛みを強く感じる人もいます。
この違いの一因が、「体性感覚(Somatosensory System)」の働きです。
体性感覚とは、触覚、圧覚、温度感覚、そして固有感覚(身体の位置・動きを感じる感覚)などを含む、身体から脳へ「今の状態」を伝えるセンサーシステムのことです。

【根本原因】脳の勘違い!「身体地図のズレ」が慢性的な張りを作る
長時間の姿勢、ストレス、ケガ、または慢性的なトリガーポイント(痛覚過敏部位)があると、筋肉や筋膜から脳へ送られる体性感覚の情報が不正確になっていくことがあります。
脳が「この筋肉は硬い」「張っている」と誤って認識してしまうことで、実際には筋肉が硬くなくても張り感や違和感を感じ続けることがあります。
これを感覚のマッピングエラー(身体地図のズレ)と呼び、慢性痛や慢性のこりの背景にしばしば見られる現象です。
「筋肉の張り」は単なる筋肉の問題だけでなく、脳がどう感じ取っているか(体性感覚の誤差)によっても起こるのです。
適度な「張り」(筋緊張)は、身体を支えるうえで不可欠
筋肉の張りというと「ほぐさないといけない」「硬くて悪い状態」と思われがちですが、実は適度な張り(トーヌス:筋緊張)は、身体を支えるうえで欠かせません。
このベースの張りがあることで、姿勢を保ち、関節を安定させ、スムーズな動きを可能にしています。
つまり、張りすぎても、ゆるみすぎても問題です。
この適度な緊張バランスを調整しているのが神経ネットワークであり、ストレスや感覚のズレ(体性感覚の誤差)が起こると、このバランスが崩れて「張りすぎ」といった状態へ傾いてしまうのです。
• 適度な張り:姿勢維持、運動制御、関節安定性に不可欠
• 張りすぎ:体性感覚の誤差や自律神経バランスの乱れとも関連
末梢(筋肉・筋膜)と中枢(脳・神経) — どちらも根本原因になり得る
筋肉の張りを解消するには「末梢の筋肉をゆるめる」だけでなく、脳の感覚システム(体性感覚)を整えることも重要です。
| 原因の分類 | 主な要因 | 特徴 | 対応法 |
| 末梢 (筋肉・筋膜側) |
姿勢不良 同じ動作の繰り返し トリガーポイント 血流不全 |
局所の硬さ 圧痛 動作制限 |
筋膜リリース 鍼治療 マッサージ ストレッチ |
| 中枢 脳・神経 (特に体性感覚) |
ストレス 睡眠不足 自律神経の乱れ 体性感覚のズレ |
張り感の慢性化 広範囲化 |
呼吸エクササイズ 視覚、前庭覚の介入 中枢を意識した運動療法 神経への再教育アプローチ (体性感覚) |
【当院の強み】トリガーポイント鍼療法で「末梢」と「中枢」を同時にリセット
トリガーポイント鍼療法では、筋肉の深部にある「硬結」や「圧痛点」に細い鍼を刺入し、血流改善や過剰な緊張の解除を促します。
この刺激が、
1. 末梢(筋・筋膜)の過剰な緊張を解除する
2. 鍼刺激による体性感覚入力が脳の感覚マップを再調整(再構築)する
という二重の効果を持っています。
結果として、
「筋肉の緊張」+「脳の誤った感覚認識」の両方を正常化できるのがトリガーポイント鍼療法の強みです。
最新の研究でも、鍼刺激が痛みや張りの「感じ方」を改善することが報告されています。
当院では、筋肉・筋膜だけでなく、脳と身体をつなぐ「体性感覚」や「自律神経」の状態を重視して施術を行います。
表面の硬さをほぐすだけでなく、感覚と動きを再教育することで根本改善を目指します。
今までの話をまとめてみましょう。
あなたの張りは「脳の勘違い」かも?
• 「筋肉が張っている」=「疲れている」ではない
• 張りは筋・筋膜だけでなく、脳の体性感覚のズレによっても生じる
• トリガーポイント鍼療法は、末梢(筋肉・筋膜)と中枢(脳)を同時に整えるアプローチ
• 根本改善には「体性感覚」をリセットする施術が重要
【THE DiMEのアプローチ】
THE DiMEでは、
• トリガーポイント鍼療法
• 筋膜リリース(ファシアリリース)
• 自律神経測定(CondiView)
• 姿勢・呼吸トレーニング
を組み合わせ、筋肉の張り・痛みの根本原因に多角的にアプローチします。
「いつも同じ場所が張る」
「マッサージしても一時的にしか楽にならない」
それは、あなたの身体地図(体性感覚)がズレているサインかもしれません。
筋肉・筋膜と脳、両方からのアプローチで、長年の張り・こりを根本から見直しませんか?
ぜひ一度、当院にご相談ください。
【参考論文】
Central representation of hyperalgesia from myofascial trigger point (Niddam et al., 2008 / 2007 fMRI)
→ トリガーポイントからの刺激は一次・二次体性感覚野や島皮質の異常反応を誘発し、トリガーポイント由来の過敏(hyperalgesia)は中枢で処理されることを示唆。トリガーポイントは局所だけの問題ではないことを支持します。